数社の人事担当を歴任し、2016年、ブイキューブに参画。2017年より管理本部人事グループマネージャー、2020年よりピープル・サクセス室 室長。
人事全領域をカバーする。
時間や場所を選んで働く「Orange ワークスタイル」のおかげで、ライフイベントの発生にも柔軟に対応できるため、「ブイキューブは働きやすい」という社員の声は多いと感じますが、果たして本当にそうでしょうか?例えば女性社員は全体の36%を占めるのに、管理職となると一桁台・・・。
そんな事実に向き合う事から生まれた「Navel(ネーブル)」についてご紹介します。
D & I(ダイバーシティ&インクルージョン)イベントでの一コマ
ブイキューブでは定期的に全社を上げたオンラインイベントを開いています(ブイの日参照)。ダイバーシティ&インクルージョン(以下、D & I)なども、時折取り上げるテーマの一つです。2020年に社外取締役に越 直美さん(元大津市長で、ご自身も女性役員の教育などに携わる)を迎えたこともあり、越さんをゲストに女性活躍推進をテーマに様々な角度から掘り下げ、知見を深めたり社員の声をもとにディスカッションしています。
このイベント、会社ではなく、社員主導で行われています。社員の働き方改革を主導する「Orange Project」を母体として、特にD & Iに関心を持つメンバー「V-CUBE D&I プロジェクト」を中心に、企画、運営されています。
とある日、イベントの席上では越さんより、ブイキューブの働きやすさに対しての素晴らしい点とともに、女性活躍について、目標をもって取り組むべき、という提言が行われていました。
ブイキューブでは近年、多くの方を採用すると同時に、女性社員が占める割合も上昇してきています(2022年9月現在36%)。しかし、女性管理職の割合はわずか6%に過ぎません。このこと自体にもっと目を向けるべきでした。それまでのブイキューブでは、採用や人事制度、人員配置など少なくとも仕組み上の性差別はもちろんありませんでしたし、「Orange ワークスタイル」におけるテレワークやスーパーフレックス制度の導入など、男女関係なく育児などのライフイベントに参加しやすい環境づくりをしてきた自負もありました。ところが、この数字です。このままではいけない、という危機感もあり、女性活躍推進法における一般事業主行動計画の策定を行うにあたりその計画を絵空事にしないための議論がスタートしました。
女性活躍推進は女性のため?
もちろん、本来の女性活躍推進のゴールは管理職数や比率といった数字そのものではありません。会社の意思決定の場に本来の社会と同じような多様性を持たせることであり、そこに至る道筋の中で、今まで見てこなかった課題、意識できていなかった課題などを拾い上げ、改善することで、本当に「Even」な環境にしていくことを意味します。例えばキャリア形成、仕事の仕方、文化、など、今までの当たり前を疑ってみる事が必要です。
女性活躍に関する社員アンケートの中でも男女問わず管理職に挑戦したいと考える人が多い中で、その働き方、責任範囲などにハードルを感じてしまうと同時に、支援や周囲の理解、管理職に対する研修などの充実があれば、挑戦してみたい、という社員も多数いることがわかりました。もちろんハードルに感じている人にも多くの男性が含まれています。
振り返ってみると、成果を重んじた登用、また個人に裁量を与え、できる人がやる、という文化的側面があり、そのために必要な支援や教育とのバランスが悪かったのではないか、という反省の念が生まれました。
また社会でも価値観は多様化し、会社が社員の人生を丸抱えできるような時代ではなく、逆に自律した個人がよりフラットな会社とパートナーシップを求めるようになってきた中で、会社もより個人との対話をベースとした価値観のアップデートが求められていると思います。
やはりこの取り組みは
①人事制度、人財育成などの社内制度の進化
②キャリア意識の向上と対話をベースにした柔軟なジョブアサインメントの実現
③働き方の多様性への深い理解のある文化の醸成
④健康やライフイベントに対しての一歩踏み込んだ支援
これらを一体となって進めていく必要があることを改めて認識しました。
社員のため、それだけでいい?
①や②については、「The GOLD」と名付けた包括的な人財育成施策の中で取り組んでいきますが、③や④について、より社員の声を聴きつつ、新しい取り組みを行う必要があります。そのための目標として、私たちは、以下の3つを掲げました(次世代法、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画として)。
目標1:女性管理職を10名以上とする。
・個人の属性によるバイアスを排除した成果への正当な評価と積極的な業務経験機会の提供を行うと同時に、社会における差別の状況を認知して、その課題を解決すべく全社への啓蒙活動やキャリア支援を行う。一方、個別にも仕事を通して人生がより充実するようなキャリア形成に向けた不安の解消のための相談を行う。
目標2:男性社員の子育て参加を目的とした啓蒙活動を行い、男性育休の取得率を50%以上とする。
・子育て参加に関する背景や必要性の他、積極的に育児参加している男性社員の事例を発信し、テレワーク勤務・フレックスタイム制度の利用に加え育児休暇の積極的な取得を促進する。また、育児に関する自助グループなど、情報交換し支え合う場を支援する。
目標3:子どもを育みたいという選択肢を総合的に支援する。
・社員とその家族が現在、また将来において子どもを育むことを選択した場合、その社会的な課題、キャリア形成における課題を理解し、社員の理解度の向上、柔軟な労働環境の提供、経済的な援助などこの希望を叶えられるよう総合的に支援する。
もちろんこの目標自体がゴールではありませんが、女性活躍推進というところから視界を広げ、キャリア形成の支援、ライフイベントに対する理解や支援を広げていくためには、社員個人だけでなく、一番身近にいる家族、に対してもサポートになる取り組みでなくてはならないと考えました。
そこで前述の「V-CUBE D&I プロジェクト」メンバーと議論をはじめ、生まれてきたのがブイキューブ ファミリーサポート「Navel(ネーブル)」です。
いのちをつなぐ・・・「へそ」
ネーブルオレンジはオレンジの一種ですが、果頂部にへそに似たくぼみがあることからこの名前で呼ばれています。私たちは「Orange ワークスタイル」というコーポレートカラーに由来するブイキューブ独自のワークスタイルを進化させていますが、このファミリーサポートもこの一環である点と、何より子供など命のつながりを連想させる「へそ」にちなんでこのネーミングとしました。
そしてまずは手始めとしてこんな制度をスタートさせました(実はこれらに先駆けて、ベビーシッター補助制度も行っています)。
今後もより制度を充実させていくため、以下のような点も検討中です。
・PMSなど全般の健康相談窓口の設置や支援制度
・妊活・不妊治療に対する補助制度
・産後うつに関するケア支援制度 etc…
「Evenな社会の実現」というミッションを掲げる私たちが大事にするのは「働く」という選択肢が奪われることのないよう、支援することです。子を育みたい、という「自己実現」と同時に、キャリアをつないでいく、という「自己実現」どちらも両立できるよう支援していきます。